2013年5月26日日曜日

クレッチマン州首相を迎えてのシンポジウム「日独におけるエネルギーシフト-地域社会と市民の役割」~第2部

前回の続きです。
23日のクレッチマン氏の講演に続くパネルディスカッションの模様をまとめておきます。


福山哲郎氏より

・2011年3月11日14時26分に地震発生、すぐに危機管理センターへ(当時内閣官房副長官)、それから4日間不眠不休で対応
・同日15時30~40分ごろ、福島第一原発の電源喪失、冷却機能停止の報
・夕方から電源車手配のオペレーション←交通、通信が途絶しているため官邸主導で手配
・12日早朝に60台が現場に到着したがスペック等が適わず使用できなかった→東電への漠然とした不信感

・原発事故の影響の大きさ
・エネルギー問題への関心の高まり
・原子力発電所の抜本的な安全対策への要求
・安全神話の崩壊
・電力需給が経済に与えるインパクトを意識

・民主党政権時代の原子力発電所に対する政策に関して説明


●テレジア・バウアー氏(バーデン・ヴュルテンベルク州科学・研究・芸術大臣)より

・国内のコンセンサスでエネルギーシフトを決めたが、この決定までに数十年かかった
・困難も多くあり、学術の果たすべき役割は大きい、またこの問題に集中して取り組む必要がある

市民の意に反した形でエネルギーシフトは実現しない
・市民の行動の変化を促してゆく必要がある
・行政、学術、産業の全てに市民が参加してゆくことが必要


●植田(うえ)和弘氏(京都大学経済学研究科長)のコメント

・大学の研究者が地域に入って深く関わっていることがドイツで印象的だった
・「緑の産業革命」にむけて社会が動いている
・ドイツは様々な課題を解決しながら世界を先導してきた


●クレッチマン氏
(ドイツが直面してきた/している課題について)

・再生可能エネルギー増加による電力網の整備、強化
・電力価格の上昇
・再生可能エネルギーの不安定な出力をカバーしうるガス火力発電所への要求
・余剰電力でガスを精製することによる蓄電
・今後バーデン・ヴュルテンベルク州での風力発電の普及を進める


●フロアからの質問
(ここではわたしの印象に残ったもののみとりあげています)

・ドイツに「原子力ムラ」に相当する構造は存在するのか?
→バウアー氏より
 原子力系のロビーはあったが(緑の党支持者だけでなく)市民全体が信頼しなくなり、発言力が低下した

・今後廃炉になってゆく原子力発電所の立地地域に対し、雇用面での施策は検討されているのか?
→福山氏より
  自民党政権では検討されていない。(個人的な見解だが)原子力発電所の立地地域を原子力発電所が稼働していなければ苦しい状況に追い込み、再稼働の理由にしようとしているのではないか。

・(嘉田滋賀県知事より)緑の党が選挙に勝ったのはなぜか?
→クレッチマン氏より
 原子力の危険性について20年以上に渡り警鐘を鳴らしてきた先見性が評価されたのではないか。バーテン・ヴュルテンベルク州のイノベーティブな気風も影響。福島第一原発事故は要因のひとつに過ぎない。


23日に関しては以上です。
24日のワークショップはまた明日以降に。

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